UiPathバグ修正のポイントと事例【2026年版】
はじめに
UiPathでRPA開発を行っていると、「昨日まで動いていたのに急にエラーになった」「開発環境では動くのに本番で動かない」といった問題に直面することがあります。
本記事では、UiPath開発で頻出するバグの原因と修正方法を、具体的な事例とともに解説します。2026年1月時点の最新情報を踏まえ、効率的なバグ修正のポイントをまとめました。
よくあるバグの種類と原因
UiPathで発生するバグは、大きく以下のカテゴリに分類できます。
| カテゴリ | 発生頻度 | 主な原因 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| セレクターエラー | 非常に高い | UI要素の変更、動的な属性値 | 高 |
| タイムアウトエラー | 高い | ネットワーク遅延、アプリ応答遅延 | 中〜高 |
| 例外処理の不備 | 中程度 | 想定外のデータ、エッジケース | 高 |
| 環境依存エラー | 中程度 | 解像度、OS設定、パス違い | 中 |
| データ型エラー | 低〜中 | Null値、型変換失敗 | 中 |
バグ修正事例1:セレクターエラー
問題の状況
エラーメッセージ:
「このセレクターに対応するUI要素が見つかりません」
「Could not find the user-interface (UI) element for this action」
セレクターエラーは、UiPathで最も頻繁に発生するバグです。8割以上のケースがセレクターに関連していると言われています。
原因の特定
セレクターエラーの主な原因は以下の通りです:
| 原因 | 詳細 | 発生しやすい状況 |
|---|---|---|
| idx属性の使用 | 要素の順番が変わると動かなくなる | 動的なリスト、テーブル |
| 動的な属性値 | セッションIDやタイムスタンプが含まれる | Webアプリ、クラウドサービス |
| 環境固有の値 | qa/dev/prodなど環境名がURLに含まれる | 複数環境での運用 |
| UI構造の変更 | アプリのアップデートで要素が変わる | SaaSアプリ、ブラウザ更新 |
修正方法
1. idx属性を排除する
<!-- 悪い例:idxを使用 -->
<webctrl tag='TR' idx='3' />
<!-- 良い例:aanameやidを使用 -->
<webctrl tag='TR' aaname='注文番号12345' />
2. ワイルドカードを活用する
<!-- 悪い例:固定値 -->
<wnd title='Document - Excel 2025' />
<!-- 良い例:ワイルドカード使用 -->
<wnd title='*- Excel*' />
3. アンカーベースを使用する
固定的なラベルやアイコンを目印にして要素を特定することで、セレクターの安定性が大幅に向上します。
実践的なチェックリスト
- セレクターに
idx属性が含まれていないか確認 - 環境固有の文字列(dev, qa, prod)を排除またはワイルドカード化
- UiExplorerで検証ボタンを押して緑色になるか確認
- 複数の時間帯・状況でテスト実行
バグ修正事例2:タイムアウトエラー
問題の状況
エラーメッセージ:
「ElementOperationException: Timeout reached」
「タイムアウトに達しました」
原因の特定
タイムアウトエラーは、指定した時間内にUI要素が見つからなかった場合に発生します。
| 原因 | 解決策 |
|---|---|
| デフォルトタイムアウト(30秒)が短い | Timeout値を延長(60秒〜120秒) |
| 画面の読み込みが完了していない | Wait Element Appear を追加 |
| ポップアップがUI要素を覆っている | ポップアップを先に閉じる処理を追加 |
| ネットワーク遅延 | Retry Scopeでリトライ処理を実装 |
修正方法
1. Element Existsで存在確認してから操作
// 推奨パターン
Element Exists → 結果がTrueなら → Click
結果がFalseなら → 待機またはエラー処理
2. 適切な待機処理の追加
| アクティビティ | 用途 |
|---|---|
| Wait Element Appear | 要素が表示されるまで待機 |
| Wait Element Vanish | ローディング表示が消えるまで待機 |
| Find Element | 要素が見つかるまで待機(見つからないとエラー) |
| Element Exists | 要素の存在確認(True/False を返す) |
3. Retry Scopeで自動リトライ
ネットワーク遅延などの一時的な問題に対応するため、Retry Scopeを使用して自動リトライを実装します。
Retry Scope (リトライ回数: 3, 間隔: 5秒)
└── Clickアクティビティ
バグ修正事例3:例外処理の不備
問題の状況
「特定のデータでのみエラーが発生する」「エラー発生後にロボットが完全停止してしまう」といったケースです。
TryCatchによる例外処理
UiPathではTryCatchアクティビティで例外処理を実装します。
Try
└── メイン処理
Catches
├── System.Exception(全ての例外をキャッチ)
│ └── エラー処理(ログ出力、通知など)
└── 特定の例外タイプ
└── 個別の対応処理
Finally
└── 必ず実行する処理(アプリ終了など)
例外の種類と対処方針
| 例外タイプ | 説明 | 推奨対処 |
|---|---|---|
| Business Exception | ビジネスルール違反(データ不正など) | スキップして次へ進む |
| Application Exception | システムエラー(接続失敗など) | リトライ後、ダメなら停止 |
| SelectorNotFoundException | セレクターが見つからない | セレクター修正、または待機追加 |
| TimeoutException | タイムアウト発生 | タイムアウト値延長、リトライ |
実装のベストプラクティス
1. 例外を握りつぶさない
Catchで例外をキャッチした後、必要に応じてRethrow(再スロー)を使用して上位のワークフローに例外を伝播させます。
2. ログを必ず出力
Log Message (Level: Error)
Message: "エラー発生: " + exception.Message + " / " + exception.Source
3. スクリーンショットを保存
エラー発生時の画面状態を保存することで、原因特定が容易になります。
UiPath 2025.10での主なバグ修正
2025年後半にリリースされたUiPath 2025.10では、以下の重要なバグが修正されています。
| バージョン | 修正内容 |
|---|---|
| 2025.10.1 | セッションスクリーンショット時のアプリケーションエラー修正 |
| 2025.10.1 | 複数ドメインに存在するユーザーアカウントでのジョブ失敗を修正 |
| 2025.10.1 | FreeRDPバグによるRobot ServiceのCPU高負荷を修正 |
| 2025.10.1 | 「Cannot access a closed pipe」例外の修正 |
| 2025.10.1 | RunWorkflowAsyncの並列実行時の例外を修正 |
| 2025.10.2 | RobotJSリスナー起動失敗エラーの修正 |
| 2025.10.2 | proxy.jsonファイルの不正所有者問題の修正 |
最新バージョンへのアップデートで解決する問題も多いため、定期的なバージョン確認をお勧めします。
デバッグのテクニック
1. Slow Step(低速ステップ)モード
デバッグ実行時にSlow Stepをオンにすると、処理がゆっくり進み、どのステップで問題が発生しているか確認しやすくなります。速度は4段階で調整可能です。
2. ブレークポイントの活用
問題が発生しそうな箇所にブレークポイントを設定し、その時点での変数値を確認します。
3. Log Messageの活用
Log Message (Level: Info)
Message: "現在処理中: " + currentItem.ToString()
注意: WriteLineはUiPath Studio内でのみ動作し、Publishしたロボットでは動作しません。本番でも確認できるようLog Messageを使用しましょう。
4. 出力パネルの確認
デバッグ実行中、出力パネルには詳細なログが表示されます。エラーの前後のログを確認することで、原因特定の手がかりになります。
バグを予防するための設計指針
1. 設定の外部化
URLやファイルパスなどの設定値は、Configファイル(Excel)に外出しすることで、環境変更時にワークフローを修正せずに済みます。
2. 小さなワークフロー単位で開発
処理を小さなサブワークフローに分割することで、問題の切り分けが容易になります。
Main.xaml
├── InitAllSettings.xaml(初期設定)
├── GetTransactionData.xaml(データ取得)
├── ProcessTransaction.xaml(メイン処理)
└── EndProcess.xaml(終了処理)
3. REFrameworkの活用
UiPathが提供するREFramework(Robotic Enterprise Framework)は、例外処理やリトライ処理が組み込まれたテンプレートです。中〜大規模なプロジェクトでは積極的に活用しましょう。
まとめ
UiPathのバグ修正で重要なポイントをまとめます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| セレクターは安定性重視 | idx属性を避け、aaname/idを使用。ワイルドカードを活用 |
| 適切な待機処理 | Element Exists、Wait系アクティビティで確実に待機 |
| 例外処理は必須 | TryCatchで例外を捕捉し、ログとスクリーンショットを保存 |
| デバッグ機能を活用 | Slow Step、ブレークポイント、Log Messageで原因特定 |
| 設計段階で予防 | 設定の外部化、ワークフロー分割、REFramework活用 |
バグは発生してから対処するより、発生しにくい設計を心がけることが重要です。そして発生した際には、本記事で紹介した手法を活用して効率的に原因を特定し、修正を行ってください。
参考リンク:
関連記事: