UiPathで定型業務を自動化した話
はじめに
「毎日同じ作業を繰り返している」「単純だけど量が多くて時間がかかる」——こうした定型業務は、多くの企業で課題になっています。
人がやるべき仕事と、ロボットに任せられる仕事を切り分けることで、業務全体の生産性は大きく変わります。今回は、UiPathによる業務自動化ロボットを導入し、定型業務の工数を削減した事例をご紹介します。
お客様からいただいた課題
課題1:定型業務に人手が取られている
お客様の業務の中に、毎日決まった手順で行う定型作業がありました。具体的には、以下のような作業です:
- 複数のシステムからデータを取得
- データを所定のフォーマットに転記
- 転記したデータの整合性チェック
- 報告用ファイルの作成・送付
これらの作業自体は単純ですが、量が多く、毎日まとまった時間を要していました。
課題2:ミスが許されないがミスが起きやすい
データの転記作業は単純であるがゆえに、集中力が途切れやすく、ヒューマンエラーが発生しやすい業務でもあります。ミスが発生した場合のリカバリーにもさらに時間がかかっていました。
課題3:属人化している
業務手順が特定の担当者の頭の中にあり、マニュアルが整備されていない状態でした。担当者が不在の場合に業務が滞るリスクを抱えていました。
解決策:UiPath業務自動化ロボットの開発
自動化対象の選定
まず、お客様の業務全体をヒアリングし、自動化に適した業務を選定しました。自動化の判断基準は以下のとおりです:
| 判断基準 | 内容 |
|---|---|
| 定型性 | 手順が決まっていて、判断が不要な作業か |
| 頻度 | 毎日・毎週など、繰り返し発生する作業か |
| 量 | 1回あたりの処理件数が多いか |
| ルール化 | 条件分岐がif/else で表現できるか |
これらの基準をもとに、最も効果が大きい業務から順に自動化を進めました。
ワークフロー設計
UiPathのワークフロー設計では、以下の方針を採用しました。
1. メインワークフローとサブワークフローの分離
処理全体を小さなサブワークフローに分割することで、保守性と再利用性を高めています。
Main.xaml(メイン処理)
├── Login.xaml(システムログイン)
├── DataExtract.xaml(データ取得)
├── DataTransform.xaml(データ変換)
├── DataEntry.xaml(データ入力)
└── Report.xaml(レポート作成)
2. Config ファイルによる設定管理
URLやファイルパスなどの設定値を外部のConfigファイル(Excel)で管理し、ワークフローを修正せずに環境を変更できる設計にしました。
3. Retry機能の実装
ネットワーク遅延やシステムの応答遅延に備え、リトライ処理を組み込みました。一時的なエラーでロボットが止まらないよう配慮しています。
4. ログとスクリーンショットの記録
処理の各ステップでログを出力し、エラー発生時にはスクリーンショットを保存する仕組みを実装しました。問題発生時の原因特定を迅速に行えるようにしています。
エラー処理の設計
業務自動化において最も重要なのは、エラーが起きたときにどうするかです。以下の3段階のエラー処理を設計しました:
- リトライ:一時的なエラー(画面の読み込み遅延など)は自動リトライ
- スキップ&記録:特定のデータでエラーが発生した場合、そのデータをスキップしてログに記録し、残りの処理を続行
- 停止&通知:致命的なエラー(ログイン失敗など)が発生した場合、処理を停止して担当者にメール通知
改善結果
1. 作業時間の削減
毎日発生していた定型業務がロボットにより自動実行されるようになり、担当者の作業時間が大幅に削減されました。空いた時間を、分析や企画といった付加価値の高い業務に充てられるようになっています。
2. ミスの解消
ロボットは決められた手順を正確に実行するため、転記ミスやチェック漏れがなくなりました。データの正確性が向上し、リカバリー作業も不要になりました。
3. 属人化の解消
業務手順がUiPathのワークフローとして可視化・文書化されたことで、特定の担当者に依存しない体制が構築できました。ワークフローそのものがマニュアルの役割を果たしています。
4. スケジュール実行による業務の安定化
UiPath Orchestratorによるスケジュール実行を設定し、毎日決まった時間に自動で処理が実行されるようになりました。担当者が出社する頃には結果が揃っている状態を実現しています。
RPA導入のコツ
今回のプロジェクトを通じて得られた知見をいくつか共有します。
「全部自動化」を目指さない
例外処理や判断が必要な部分は人に残し、定型的な部分だけを自動化する「部分自動化」が現実的で効果的です。
現場の担当者を巻き込む
実際に業務を行っている担当者の知見が、正確なワークフロー設計に不可欠です。開発者だけで進めると、現場の実態と乖離したロボットができてしまいます。
小さく始めて段階的に拡大する
まず1つの業務を自動化して効果を実感してもらい、その後に対象業務を広げていくアプローチが成功しやすいです。
まとめ
定型業務の自動化は、RPAの最も得意とする領域です。UiPathを活用することで、プログラミングスキルがない現場でも運用可能な業務自動化を実現できました。
改善前:
- 毎日数時間の定型作業
- ヒューマンエラーの発生
- 特定担当者への属人化
改善後:
- ロボットによる自動実行
- ミスゼロの正確な処理
- ワークフローによる業務の可視化
「この作業、毎日やってるけど自動化できないかな?」——そんな課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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